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健康コラム

 

犬の甲状腺がんについて

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毎日、愛犬、愛猫とスキンシップしていますか?動物たちは全身ふわふわの毛で覆われているため、見た目では気づかないことも、触ることでオヤッと気づくことがあります。

今回のコラムでは、ノドの近くが腫れていることに気付き、検査の結果、腫瘍だったケースをご紹介したいと思います。あまり見ることの多くない腫瘍なので、普段見過ごされることも多いですが、日ごろからのスキンシップが発見に役に立った一例です。

 

 

【来院のきっかけ】

ノドの付近を撫でた際に、小さい「しこり」のようなものがあると気づき、はじめは様子を見ていたとのことです。しかし、しこりが徐々に大きくなってきたため、来院されました。

 

 

【甲状腺とは】

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甲状腺とその周囲の模式図

(イラスト:CLINICNOTE No.123 p25, interzoo社より引用)

 

甲状腺は、上の図のように気管に沿うように左右にある小さな臓器です。大きさは犬種によって違いはありますが、おおよそ2㎝×0.5㎝位です。甲状腺は、成長に関する働きやたんぱく質、脂肪、炭水化物などの代謝に関与する甲状腺ホルモンを産生しています。また、体のカルシウム量を調節するホルモンも産生しています。

 

 

【甲状腺の腫瘍】

甲状腺の腫瘍の発生は、犬の腫瘍全体の2%未満とまれです。しかし、多くが悪性の甲状腺がんで、肺野近隣のリンパ節への転移の多い腫瘍です。良性の甲状腺腫の場合もあります。

甲状腺機能低下症の犬では、甲状腺がんが発生する可能性が高いことが報告されています。

甲状腺の腫瘤は、片側だけに発生することもあれば、両側とも発生することもあります。主な症状としては、咳が出る、食べ物を飲み込みにくくなる、呼吸が早くなるなどが見られることがあります。

 

 

【診断法】

針吸引生検、超音波検査、胸部レントゲン検査、血液検査(一般血液検査、甲状腺ホルモン濃度測定)、CT検査(頭部から胸部)など、様々な検査を組み合わせて診断を行います。

 

 

【予後因子】引用:犬の腫瘍 p481, interzoo社

腫瘍の大きさと生存期間に相関があり、腫瘍が大きいほど生存期間は短いとされています。また、摘出した腫瘍の組織学的グレード分類により、低グレードと高グレードに分類し、低グレードのほうが生存期間は長いとされています。犬種や性別、年齢は影響しません。

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腫瘍の組織グレードと生存期間を示したグラフ

低グレードのほうが高グレードより生存期間が長い傾向にあります。

 

腫瘍の転移がある場合、積極的な治療を行わず、支持治療のみを行った場合の平均生存期間の中央値は約3.5ヶ月です。

 

 

【治療法】

腫瘍の大きさ、形態、転移の有無などにより変わりますが、外科的切除が第一選択となります。腫瘍の形態によって外科的切除によって治癒する可能性があります。腫瘍の浸潤の程度により、片側の頸動脈と頸静脈を切除する必要がある場合があります。

 

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摘出した甲状腺腫瘤

 

両側に腫瘍がある場合、摘出手術により各種ホルモンが産生できなくなるため、血液中のカルシウム濃度のモニタリングを定期的に行い、カルシウムとビタミンDの投与が必要になります。また、甲状腺ホルモン製剤の投与も必要になります。

転移がない場合、放射線療法も治療の選択肢となります。一方、転移がある場合、抗がん剤の投与が第一選択となり、他の治療法と合わせて治療を行います。

 

 

【今回の症例】

今回の犬の甲状腺の腫れは、片側性で、明らかな転移もなかったため摘出手術を行いました(上図)。手術後も順調で、傷口もきれいになりました。今回摘出した腫瘍は、病理検査により甲状腺がんであることが分かりました。下図にあるように一部のがん細胞が血管への侵入がありましたが、幸いなことに以降の転移はありませんでした。

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【最後に】

今回は、日ごろのスキンシップがきっかけで発見することが出来た疾患をご紹介しました。特に健康な子は、病院に来る機会も少ないので、普段からの観察が早期発見には重要になります。動物達は自分で異常を訴えることができないので、家族の皆さんが異常をすばやくみつけてあげられるといいですね。スキンシップをかねて、さっそく全身を触ってみてくださいね!若く健康な子でも、基本的な身体検査(体温、体重、触診、聴診、視診など)だけでも一年に一度は健康診断としてお勧めしています。いつでもご相談ください。

 

 

 

井上動物病院

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